メコンデルタ研修の一週間
メコンデルタの参加型改善活動を学ぶ
メコンデルタ2010、農村で環境問題の参加型トレーニング風景
メコンデルタ国際研修運営委員会は、2000年3月財団法人労働科学研究所、特定非営利活動法人東京労働安全衛生センター、カント省労働衛生環境センター三者合意の下に発足しました。
その目的は、メコンデルタで90年代半ばから行なわれている中小企業の参加型労働改善活動WISE(Work Improvement in Small Enterprises)、農業の参加型労働生活改善活動WIND(Work Improvement in Neighbourhood Development)から学ぶこと。各国の経験を交流すること。研修の経験を各国の参加型活動に活かすことでした。
国際研修を開発した人々
2000年メコンデルタ研修組織委員会(小木和孝さん、川上剛さん、トンタットカイさん、平野敏夫さん) 小木和孝さんは元国際労働機関(ILO)の労働条件国際局長です。現在は国際産業保健学会=ICOH(International Congress on Occupational Health)の会長を務めています。川上剛さんはILO専門家としてジュネーブ本部にお勤めで、トンタットカイさんはILO東アジアオフィスにお勤めです。平野敏夫さんは、当センター代表理事で、東京にあるひらの亀戸ひまわり診療所の所長です。
PAOTが研修の基本です
本研修は、Participatory Action-Oriented Training(PAOT)と呼ばれ、現地の参加者はWINDなどの労働生活改善活動を学び、研修に参加した私たちはファシリテーターの役割を学ぶ=Training of Trainers二つのプログラムが同時進行します。
トレーニングキットには、アクションチェックリストと良好事例写真集があり、すべてメコンデルタ現地の良好事例を基礎に作られています。この10年間でのべ280名、14ヶ国の人々が参加し、国際研修後、ベトナム、日本、韓国、バングラデシュで10種類の異なった参加型改善プログラムが作られました。
どのような研修が行われるの
各国の参加者はグループで行動し、トレーニングキットを作ります
収集した写真を広げて、トレーニングキットを作成する
一日目はPAOT理論を学びます。人々の改善活動を促進するには、現地で行われている安全保健や人間工学のルールにそった良好事例を紹介することがもっとも効果的である ことが繰り返し強調されます。
二日目は農村や工場で、現地の人々のためのトレーニングに使う良好事例をグループで収集します。三日目は収集した良好事例に基づいたトレーニングキットを開発し、プレゼンテーションの練習をします。参加者は英語で、ベトナム人は翻訳します。
四日目、五日目は現地の人へのトレーニングです。二日間のセッションを通して、現地の人は安全保健や環境問題を学び、私たちは、参加型トレーニングに必要なファシリテーションを学びます。
最終日は、各国参加者の活動報告会が行われます。.
文化交流でPAOTのきずなが強まります
お別れパーティで、舞台で踊る各国の参加者
メコンデルタ国際研修では、文化交流も盛んに行われます。ウェルカムパーティでは、各国の民族衣装を着た参加者が、昔からの友人であったかのように親しく踊り歌います。
ファシリテーターとして自分の思いを伝えるためには、「スマイル」が大切です。現地の人々のトレーニングでも、笑顔いっぱいのさまざまなパフォーマンスを作ります。歌、ゲーム、ダンスなどで、現地の人たちのトレーニング参加を促進します。
また現地の人たちも、ベトナム料理や民族芸能を披露します。メコンデルタ研修の思い出は、一生忘れられないものになるでしょう。